LINEのやり取り、「スクショだけ」では足りないことがある理由

LINEのやり取り、「スクショだけ」では足りないことがある理由 不倫・慰謝料

不貞を疑ったとき、配偶者と相手とのLINEのやり取りを見つけて、思わず該当部分をスクリーンショットに撮った、という方は多いのではないでしょうか。決定的な一文が見つかれば、それだけで安心してしまいがちです。しかし、証拠としての強さという観点では、「その一文だけ」を切り取って残すことには落とし穴があります。

なぜLINEのやり取りが証拠になるのか

LINEやメールが証拠として意味を持つのは、そこに書かれている言葉そのものからです。性的な関係をうかがわせる直接的な記述はもちろん、単なる友人関係では出てこないような踏み込んだ言い回しが続いていれば、それだけで不貞を裏付ける材料になり得ます。もっとも、その証拠としての力は、切り取られた一文だけを見て決まるわけではありません。前後のやり取りを含めた文脈があって初めて、その一文が持つ意味がはっきりする、という場面が少なくないのです。

「スクショ」と「まるごと書き出し」、両方が大事な理由

証拠化の方法としては、気になるメッセージの画面をそのまま撮影・保存するのが基本です。画面そのものが証拠として残るため、見た目の説得力があり、改ざんを疑われにくいという利点があります。

ただ、都合の良い一文だけを抜き出してスクリーンショットを残すと、かえって「その前後にどんなやり取りがあったのか」「一部分だけを恣意的に切り取っているのではないか」という疑いを招きかねません。いつ頃から関係が深まっていったのか、どの時点で何を知っていたのかという時系列そのものが、慰謝料の金額やそもそも不貞行為に係る責任の有無を左右する争点になる場面も少なくなく、こうした流れを示すためには、気になる一文だけでなく、一定期間のやり取りをまとまった形で残しておくことが役立ちます。

そこで実務上は、決定的な発言が写ったスクリーンショットと、やり取り全体の流れが分かる記録との、両方を残しておくことをお勧めしています。スクリーンショットだけでは文脈が伝わらず、全体の書き出しだけでは決定的な一文の生々しさが伝わりにくい、という互いの弱点を補い合う関係にあるためです。

LINEのトーク履歴をまとめて書き出す方法

LINEには、特定の相手とのトーク画面全体をテキストファイルとして書き出し、メール等で自分宛てに送っておける機能があります。大まかな手順は次のとおりです(LINEのバージョンによって画面表示は多少異なります)。

① 対象となる相手とのトーク画面を開く

② 画面右上のメニューアイコン(三本線などで表示されるメニュー)をタップする

③ メニューの中から「設定」を選ぶ

④ 「トーク履歴を送信」を選択する

⑤ 送信先(自分のメールアドレスなど)を選び、送信・保存する

この方法で書き出されるのはテキストのみで、送受信の日時とともにやり取りの内容が時系列で並んだファイルになります(写真やスタンプは、画像そのものではなく「[写真]」等の表記に置き換わります)。大量のやり取りを漏れなく、日時とセットで保存しておきたいときに向いた方法です。

もっとも、この方法で書き出したテキストファイルは、その気になれば内容を書き換えることも技術的には可能です。そのため、この書き出しデータだけを証拠として提出するのではなく、決定的なやり取りについては別途スクリーンショットも残しておき、両方を組み合わせて提出することをお勧めします。

集める際に注意したいこと

ロックのかかったスマートフォンを持ち主に無断で操作し、暗証番号を突破してまで中身を見るようなやり方には、法的なリスクが伴います。不正アクセス禁止法が直接適用されるかどうかは、ネットワークを介したログインの有無など事案によって異なりますが、プライバシーの侵害をはじめとした法的な問題を招くおそれがあることに変わりはありません。この点は別のコラムでも取り上げていますが、証拠を集める方法自体に無理があると、せっかく見つけた内容が証拠として使えなくなるおそれがあることには注意が必要です。

実務上の意味・ここがポイント

「決定的な一文さえ残っていれば大丈夫」と考えず、その一文の前後にどんなやり取りがあったのかを含めて記録しておくことが、証拠としての完成度を高めます。スクリーンショットとトーク履歴の書き出し、それぞれの得意分野を組み合わせて残しておくことを意識してみてください。

もっとも、これはあくまで一般的な傾向です。実際にどの程度の記録が必要かは、他に集まっている証拠の内容や、想定される相手方の反論によって異なります。証拠を整理する前に、一度見通しを相談されることをお勧めします。

よくある質問

Q 決定的なメッセージのスクリーンショットが1枚あります。これだけで十分ですか。

A 1枚だけでは、前後の文脈が分からず、一部だけを切り取ったのではないかと指摘される可能性があります。可能であれば、その前後のやり取りが分かる記録も合わせて残しておくとよいでしょう。

Q トーク履歴を書き出したテキストファイルだけを証拠として出すのでは不十分ですか。

A テキストファイルは編集が技術的に可能なため、それだけでは正確性を争われることがあります。特に重要なやり取りについては、画面そのものを撮影したスクリーンショットも合わせて用意しておくことをお勧めします。

Q 配偶者のスマートフォンのロックを解除してLINEを見てもよいですか。

A 持ち主の同意なく暗証番号を突破して中身を見る行為には法的なリスクが伴い、そうして得た内容が証拠として認められなくなることもあります。実行する前に慎重な検討をお勧めします。

証拠の残し方にご不安がある方へ

「どのやり取りを、どういう形で残しておけばよいか分からない」というご相談は少なくありません。すでにお手元にある記録の内容を伺ったうえで、証拠としての評価や、補強すべき点について具体的にアドバイスいたします。まずは状況をお聞かせください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な対応については弁護士にご相談ください。

執筆者:益子大悟(中目黒さくら法律事務所 代表弁護士/第一東京弁護士会所属)