「私は収入がなく、ずっと家庭を支えてきました。年金分割をしても、少ない割合しかもらえないのではないでしょうか」というご相談をいただくことがあります。結論からいうと、収入の有無やその金額の大小は、年金分割の割合にほとんど影響しません。今回は、年金分割の割合(按分割合)の決まり方についてご紹介します。
按分割合は、収入の多い少ないに関係なく2分の1が基本
年金分割の割合について、多く稼いでいた側・厚生年金に多く加入していた側が有利になるのではないかと不安に思われる方は少なくありません。按分割合は当事者の合意によっても決められますが、話し合いがまとまらず裁判所が按分割合を定める場合は、どちらがどれだけ稼いでいたかにかかわらず、2分の1とされる取り扱いがほとんどです。
これは、婚姻期間中に築かれた年金の記録は、外で働いて収入を得ていた側だけでなく、家庭を支えていた側の協力があってはじめて維持されたものだ、という考え方に基づいています。専業主婦(主夫)であった期間が長いことは、割合を減らす理由にはなりません。
2分の1以外の割合が認められた例もあるが、極めて例外的
なお、裁判例の中には、2分の1以外の割合を定めたものもわずかに存在します。たとえば、特別な事情があると判断され、2分の1よりも低い割合が定められた例があります。
もっとも、こうした事例はあくまで特殊な事情が認められた例外であり、その後、同様の判断が広がっているわけではありません。同居期間の長さや、夫婦それぞれの貢献の程度といった事情を持ち出しても、通常はそれだけで2分の1という原則が崩れることはないというのが実務の大枠の理解です。
実務上の意味・ここがポイント
①按分割合は、収入の多寡にかかわらず、2分の1とされるのが実務上の基本です。
②2分の1以外の割合が認められた裁判例もありますが、極めて例外的なものです。
③専業主婦(主夫)であったことは、割合を減らす理由にはなりません。同居期間が短いという事情だけで、通常、割合が減ることもありません。
よくある質問
Q1 結婚してすぐに専業主婦になりましたが、それでも2分の1もらえますか?
A 婚姻期間中の厚生年金記録が対象になりますので、専業主婦であった期間が長くても、按分割合は原則として2分の1です。
Q2 相手が浮気をしていた場合、割合を増やしてもらえますか?
A 年金分割の割合は、婚姻期間中の年金記録をどう分けるかという制度であり、離婚原因についての有責性を反映させる仕組みにはなっていません。
Q3 結婚期間が短い場合でも2分の1ですか?
A 婚姻期間の長短も、按分割合そのものを左右するものではありません。ただし、婚姻期間が短ければ、分割の対象となる年金記録自体が少なくなりますので、分割による影響も相対的に小さくなります。
年金分割の割合についてご不安がある方へ
「収入がなかったから」「専業主婦だったから」という理由で、年金分割の割合について不利になるのではと心配される方は多くいらっしゃいますが、実務上はそのような扱いにはなりません。ご自身のケースで按分割合がどうなるか気になる方は、中目黒さくら法律事務所までご相談ください。
※本コラムは、年金分割制度についての一般的なご紹介を目的としたものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。実際のご相談内容によって結論が異なる場合がありますので、具体的なケースについては弁護士にご相談ください。

