配偶者・元配偶者からの連絡や接触が怖い――110番緊急通報登録システムとは

配偶者・元配偶者からの連絡や接触が怖い――110番緊急通報登録システムとは DV・モラハラ

配偶者や元配偶者からの暴力、執拗な連絡や接触が続き、「いつ危害を加えられるか分からない」という恐怖を抱えたまま生活している方がいます。こうした方に知っておいていただきたい制度の一つが、110番緊急通報登録システムです。今回は、この制度の仕組みと利用にあたっての注意点を解説します。なお、110番登録は、婚姻中の配偶者や元配偶者からの被害に限らず、面識のない相手によるストーカー被害や、交際相手からのDVなど幅広いケースで利用されています。

110番緊急通報登録システムとは

110番緊急通報登録システム(以下「110番登録」といいます)は、DVやストーカー行為の被害者等を対象に、各都道府県警察が運用している制度です。あらかじめ氏名や電話番号、相談内容の概要などを警察に登録しておくことで、登録した電話番号から110番通報があった際、通信指令室の受理画面にその登録内容が表示される仕組みになっています。

この制度の大きな利点は、緊急時に一から事情を説明しなくても、警察官が事前の相談内容を踏まえたうえで対応にあたれる点にあります。パニック状態や、声を出すことすら難しい状況で110番した場合でも、登録内容をもとに所轄の警察署や現場に向かう警察官へ必要な情報を伝えることができ、より迅速で的確な対応につながることが期待されます。

登録しておくメリット

配偶者や元配偶者からの接触に不安を抱えている方にとって、この制度のメリットは主に次の2点です。一つは、緊急時に説明の手間や時間を省けることです。恐怖や混乱の中で状況を的確に説明するのは容易ではありませんが、あらかじめ相談内容が共有されていれば、その負担を減らすことができます。もう一つは、通報を受けた警察官が背景事情を把握したうえで現場に向かえることです。相手との関係性や過去の経緯を理解した状態で対応してもらえることは、被害者にとって大きな安心材料になります。

110番登録のデメリット・注意点

110番登録には多くのメリットがある一方で、デメリット・注意点もあります。特に注意したいのが、運用が都道府県単位で行われているという点です。登録の対象や具体的な取扱いは都道府県警察ごとに異なっており、登録した情報が他の都道府県警察でどのように扱われるかについても、一律に決まっているわけではありません。そのため、通勤や通学、実家への行き来などで生活圏が居住する都道府県の外にも及ぶ場合には、登録先以外の都道府県で110番通報をした際に登録内容がどこまで反映されるのか、登録を行う警察署にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

登録の方法

この制度の対象や具体的な登録手続きは都道府県警察によって異なります。登録を希望する場合は、まずは最寄りの警察署の生活安全課や相談窓口に相談し、利用対象になるかどうか、必要な手続きを確認することをお勧めします。DVやストーカーの相談をする際に、あわせてこの制度の利用について尋ねてみるとよいでしょう。東京都内にお住まいの場合は、警視庁の相談窓口(警察相談専用電話「#9110」等)に問い合わせることも一つの方法です。

実務上の意味・ここがポイント

①110番緊急通報登録システムは、DV・ストーカー被害者等が、氏名や相談内容等をあらかじめ警察に登録しておく制度で、各都道府県警察が運用しています。

②登録しておくことで、緊急時に説明の手間を省きつつ、事前の相談内容を踏まえた対応を受けやすくなります。

③この制度は都道府県単位で運用されており、登録情報が他の都道府県でどこまで扱われるかも一律ではないため、生活圏が居住する都道府県の外にも及ぶ場合は、登録先の警察署に確認しておくことが大切です。

④登録の対象や手続きの詳細は警察署によって異なるため、まずは最寄りの警察署の相談窓口に確認することが重要です。

よくある質問

Q この制度は誰でも利用できますか。

A DVやストーカー行為の被害者等を対象に想定された制度です。利用できるかどうかや具体的な対象の範囲は警察署によって異なることがあるため、最寄りの警察署にご確認ください。

Q 通勤先が別の都道府県にあります。登録はどうすればよいですか。

A この制度は都道府県単位で運用されており、登録情報が他の都道府県でどこまで共有されるかは一律に決まっているわけではありません。通勤先など生活圏が居住地の都道府県の外にも及ぶ場合には、その都道府県でも登録が必要かどうか、登録先の警察署に確認しておくことをお勧めします。

Q 登録さえしておけば、絶対に被害を防げますか。

A 登録は、緊急時に警察が事情を把握したうえで迅速に対応しやすくするための制度であり、被害の発生そのものを防止することを保証するものではありません。DV防止法上の保護命令や、ストーカー規制法上の禁止命令等といった他の法的手段とあわせて、総合的に対策を検討することが大切です。

Q まだ離婚していません。現在の配偶者からDVを受けている場合でも利用できますか。

A 110番登録は元配偶者からの被害に限られる制度ではありません。婚姻中の配偶者からDV等の被害を受けている場合も対象となり得ます。具体的な登録対象や手続きは警察署によって異なるため、最寄りの警察署の生活安全課や相談窓口に確認してください。

配偶者・元配偶者やストーカーからの被害にご不安がある方へ

配偶者・元配偶者からの接触や、ストーカー被害への不安がある場合、110番緊急通報登録システムの活用を含め、どのような対策がとれるか整理いたします。まずは状況をお聞かせください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。制度の運用は都道府県警察によって異なる場合があります。具体的な対応については弁護士や最寄りの警察署にご相談ください。

執筆者:益子大悟(中目黒さくら法律事務所 代表弁護士/第一東京弁護士会所属)